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20年近く時計を趣味にしてきて、珍しい品物との出会いはいくつかあったのだが、このロンジンもそのひとつだ。 話の始まりは有名な時計愛好家 松山猛さんの「時計王」(世界文化社 刊)という本に始まる。 この本の中で「素晴らしきロンジンに出会う」という章で松山さんはロンジン・コロネーションモデルに出会い、入手したくだりについて書いている。ジュネーブの時計屋オーナーから「バランス受けやアンクルの爪石などがダイヤモンドなんですよ。僕も父からこの仕事を継いでけっこう長くなるけど、こんな美しいムーブメントのロンジンは初めて見ました」と言われ、松山さんはこのコロネーションを購入するのだが、かの時計通をして、「まさに機械式時計の黄金期を象徴するような逸品」と絶賛なのであった。そのコロネーションは、?21石である ?5姿勢調整がされている ?王冠のマークが刻印されている ?ダイヤモンドの穴石である という特徴を持っている。 松山さんの購入したコロネーションは懐中時計であった(筆者も過去に海外のオークションでこの懐中コロネーションを落札し損ねた経験がある)。ここで紹介するのは腕時計のコロネーション・モデルだ。
好きな方が見たらすぐわかるようにベースはロンジンの角型ムーブメントの代表格であるCal.9Lである。しかしながら普通の9Lにない特徴がいくつかある。 まず、わかるのは金メッキされたブリッジ。通常のニッケルめっきとは明らかに異なる。で問題の”石”なんだが、
こんな感じで透明な穴石+蓋石で蓋石はカットが施されている。これってダイヤモンドなの?続いてはブリッジにある”21 JEWELS”の刻印。通常の9Lは17石なので4石のエクストラが奢られているわけだ。
もっとある。”EXTRA QUALITY ADJUSTED TO FIVE 5 POSITIONS CORONATION”の刻印(松山さんの本に載っている懐中コロネーションと同一の刻印)。クロノメーターなみの5姿勢調整がされている。ちなみにこれ以外に5姿勢調整の9Lの存在を筆者は知らない。
そしてこの王冠の刻印である。コロネーション=戴冠式であるから、誰かの戴冠式を記念してのモデルだと思われるが、果たして誰なのか?気になって眠れぬ夜を過ごしていたのだが。。。
あるとき、古いロンジンの広告を海外の「時計広告コレクター」から譲ってもらった。 これによればコロネーションモデルは「ジョージ6世とエリザベス女王の公式戴冠式時計のレプリカ」となっている。ジョージ6世の戴冠式は1937年5月12日だ。このロンジンの広告も1937年のものと思われる。
ちなみにこの広告ではコロネーションは14金のケースを奢られているのであるが、筆者の持っているモデルはチープなニッケルクロムケース+ステンレス裏蓋である。ケースは入れ替えられたのだろうか?
こんなわけでロンジン・コロネーション調査報告を終了するのだが、この広告を見ると限定品ではなく普通に売っていたらしいし、特別高価でもない。古いモデルのようだがこれだけ特徴のある機械であればマニアが目をつけ、それを喧伝するハズで、そうした効果によりマーケットでもっと見かけてもよさそうなものである。しかしながらお店やオークションで見ることは非常に稀なのだ(入手にあたり、筆者もかなりの散財をした)。この謎はまだ解明されるのを待っている。 結局、この腕時計コロネーションモデル、どれだけ珍品なのだろう?
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